接道条件が悪い住宅は日本全体で3割超

BUSINESS TREND 接道条件が悪い住宅は日本全体で3割超 2020.02.27

総務省は9月30日、「平成30年住宅・土地統計調査」のうち、「住宅及び世帯に関する基本集計(確定値)」の結果を公表しました。今回150超のデータが一気に公表され、全国・都道府県だけでなく、市区町村まで細かく集計されており、私たちは住宅や土地に関するより精密なデータを見ることが可能になります。【日本の住宅の今を知る!住宅・土地統計調査を大解剖】と題した特集で、この「住宅・土地統計調査」で気になるデータをピックアップし、深堀していきたいと思います。

宅建の勉強をした方や実務で土地の取引をされている方ならば、よく耳にする「接道義務」。今回は、日本の住宅の敷地に接する道路の条件について深堀していきましょう。

接道義務とは?なぜ存在するの?

接道義務とは、建築基準法第43条で規定されていて、都市計画区域内で建物を建てる場合、原則として幅員4m(特定行政庁が幅員6m以上を道路として取り扱う区域は6m以上)の建築基準法上の道路に、2m以上接した敷地でなければならないと定められていることを言います。

例えば、住宅密集地でよく目にする「旗竿地」。これは、道路に接する部分が細い通路上の敷地になっていて、その奥に家の敷地がある形状の土地のことを指します。 旗竿地の場合、この通路部分の幅が2m以上なければいけません。

ちなみに、この2mというのは道路に接している部分だけではなく、通路となっている部分の幅全てをいうので、路地状部分で2m未満になっているところが1カ所でもあると、それは接道義務を果たしていないこととなってしまいます。

ちなみに、接道義務はそもそもなぜ存在するのでしょうか?主な目的は、火災や緊急時などに、消防車や救急車、担架・救命器具などをスムーズに住宅に運べるようにするためです。

接道義務を満たしていないと「建築不可」

基本的に、接道義務を満たしていない土地には建物を建てることはできません。また、接道義務を満たしていない敷地に建築物が既にある場合は、その建物を取り壊したとしてもその敷地に新たに建物を建築をすることはできません(再建築不可)。昨今空き家問題が取りざたされていますが、この接道義務を果たしていない古い建築物が、空き家が増える一因であるとも言われています。
ちなみに、もし確認申請をせずにこのエリアに建物を建てたり、取り壊して再建築したりした場合、「違反建築物」として工事の中止、建物の撤去などの行政処分対象になってしまいます。
ただし例外的に、建築基準法の規定が適用されるに至った際に建築物が立ち並んでいる幅員4mの道で特定行政庁の指定したもので、幅員が4m未満(6m未満)の狭い道であっても道路とすることが認められており、これらは「2項道路」や「みなし道路」と呼ばれており、幅員が4mに満たない道路=建築不可と言い切ることはできません。
それでは、今現在、日本の住宅の接道条件はどのようになっているのでしょう。平成30年住宅・土地統計調査から見ていきましょう。

接道条件の悪い敷地は3分の1も存在する

住宅・土地統計調査によると、道路に接していない敷地は約99万2千戸で全体の約1.8%、幅員2m未満の道路に接している敷地は230万戸(約4.3%)、幅員2~4m未満の道路に接する敷地に建つ住宅は約1433万戸(約26.7%)で、これら「道路に接していない敷地」と4m未満の道路に接する敷地を「接道条件の悪い敷地」とした場合、日本全体で約32.8%がこの条件に合致する住宅であると言えます。

■敷地に接している道路の幅員別 住宅数割合(全国)
接道条件,住宅・土地統計調査

また、旧耐震建築物(1980年以前)に関しては、4割近くが接道条件の悪い敷地に立地しています。
しかしながら、日本全体でみた場合これらの住宅全てが、接道義務がある都市計画区域内であるとは言えません。
次に、全域が都市計画区域となっている東京23区について注目してみてみましょう。

■敷地に接している道路の幅員別 住宅数割合(東京23区)
接道条件,住宅・土地統計調査

前述の通り、接道条件が悪い敷地でも、一部は2項道路として建築が認められている場合があるので、東京23区内でも接道条件の悪い敷地が多くあるのが分かります。ことに、最近建てられた住宅においても、2項道路ではあるが悪条件の敷地が多いのは、東京23区という人気エリアにそれでも住宅を建てたいという需要があるからと見ることが出来るのではないでしょうか。

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