高齢者免許返納問題の背景にある交通弱者問題

BUSINESS TREND 高齢者免許返納問題の背景にある交通弱者問題 2020.02.12

総務省は9月30日、「平成30年住宅・土地統計調査」のうち、「住宅及び世帯に関する基本集計(確定値)」の結果を公表しました。今回150超のデータが一気に公表され、全国・都道府県だけでなく、市区町村まで細かく集計されており、私たちは住宅や土地に関するより精密なデータを見ることが可能になります。【日本の住宅の今を知る!住宅・土地統計調査を大解剖】と題した特集で、この「住宅・土地統計調査」で気になるデータをピックアップし、深堀していきたいと思います。

総務省統計局は、1月31日に平成30年住宅・土地統計調査詳細データ第2弾として、住宅の構造等に関する集計結果を公表しました。住宅の構造や立地に関することなど、住まいについての状況を知ることが出来ます。今回は、最寄りの駅やバス停までの距離について見ていきましょう。

世帯人数が多ければ多いほど住まいは駅から遠くなる傾向

まずは、世帯人数別で最寄りの駅までの距離について全国平均を算出しました。

■世帯人数別 最寄りの駅までの距離(全国)住宅土地統計調査 分析

■ 世帯人数別 駅前の距離が200m以下と2,000m以上の世帯割合比較

駅までの距離が200m以内、つまり、駅まで徒歩2分半以内(※80m=徒歩1分)の駅近物件に住んでいる世帯は全国でわずか5%。世帯人数に注目すると、単身世帯の場合は、200m以内が8%に増えます。単身世帯は駅近物件を好むのは納得のデータです。逆に、人数が増えるとある程度の広さが必要となるため、駅近という条件を諦めなければならないようです。

次に、東京23区に限定してみてみましょう。

■ 最寄りの駅までの距離(東京23区)
住宅土地統計調査 分析

200m以内は1割、500m(≒徒歩6分15秒)以内は43%と半数近くになっています。また、世帯類型別で200m以内の割合を見た時、ここでも単身世帯が最も多く13.4%でしたが、次に多かったのが夫婦と3歳未満の者(3人世帯)で12.6%でした。共働きの子育て世帯をターゲットにした分譲マンションなどが増えており、駅近でも子育てしやすい環境が整ってきていると言えそうです。

都道府県によって大きな差…高齢者における交通弱者問題

昨今ニュースでよく目にするようになった高齢ドライバーによる深刻な事故。そんな中、高齢ドライバーの運転免許証返納を促す動きが強まっていますが、その代わりとなる移動の“足”をどう確保するのかも同時に考えなければなりません。

本統計でもっとも悪条件と言える「駅まで2,000m以上バス停まで1,000m以上」の場所に住む75歳以上の高齢者世帯の割合を都道府県別で算出すると以下のような結果になりました。

■ 都道府県別 駅まで2,000m以上バス停まで1,000m以上に住む75歳以上世帯

住宅土地統計調査 分析

駅まで2km以上、バス停ですら1km以上離れているという状況下にいる高齢者が日本全体で4%いますが、都道府県によってかなりばらつきがあるようで、徳島県にいたっては75歳以上の高齢者世帯の6.6世帯に1世帯が該当しています。こういった状況が、高齢ドライバーが免許を返納をせず、車を使い続ける理由のひとつとなっているのではないでしょうか。ちなみに、先ほどの徳島県は、全国的に展開している「とくし丸」という移動スーパーの発祥の地であり、買い物困難者を救う受け皿が整っているようで、警察庁の資料によると75歳以上の免許返納率は全国平均と同水準の5.1%でした。高齢の交通弱者問題に関しては、地方自治体だけでなく民間や地域が一体となって取り組んで行くことが重要なようです。

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