【第2回】沖縄から卓球でメダリストを!

BUSINESS TREND 【第2回】沖縄から卓球でメダリストを! 2020.01.23

卓球は日本人でもメダルのチャンスがあるスポーツ

「実は、卓球は日本人に向いているスポーツなんです。ご存じの通り、最近ではオリンピックでもメダルが取れて来ていますし、世界ランキング100位以内の選手が何人もいます。」

2019年12月の世界ランキングでは、張本智和選手が5位、11位に丹羽孝希選手、13位に水谷隼選手、女子では伊藤美誠選手が自己最高で日本人最高位の4位、10、11位に石川 佳純選手、平野美宇選手がランクインしている。2019年12月時点の世界ランキングでは、男女合わせると実は強豪中国よりも日本の方が100位以内にランクインしている選手の数が多いのだ。

■国別 卓球世界ランキング100位以内にランクインしている男女の人数(2019年12月12日時点)

(弊所作成)

「恐縮ながら、野球やバスケット、サッカーとなるとどうしても体格の差が勝負に反映されてしまいます。つまり、世界で戦おうと思っても体格で勝てないんですよね。でも、卓球というスポーツは、張本選手を始め、世界で活躍している選手を見ても、体格的にすごく大きいというわけでもないですよね。ただ、ずっと地道に努力している者が勝っている。つまり、卓球というものは、日本人の強みである「地道さ」「積み上げ」が活かせて、なおかつ、体格の差が関係ないスポーツなんです。だから、次の東京オリンピック、その後のパリ、ロス五輪でもメダルラッシュが期待されています。
また、インドやアフリカで強い選手が出てきて、卓球人口が急速に伸びてきているんです。今卓球人口は8億人いると言われていますが、8億人のマーケットに訴求できるスポーツで、なおかつ場所をとらず、どこでも出来るスポーツって他にはないですよね。」

卓球は”固定費の低い”スポーツ

早川氏がTリーグのチェアマンである松下氏からの代表就任要請を受け入れた決め手となった一言、『5歳で始めたスポーツで15歳でメダルが取れる可能性があり、また、沖縄で少しずつ貧富の格差が拡大する中でお金をかけずしてチャンスが与えられる球技って卓球以外あるでしょうか?』
お金をかけずしてチャンスが与えられる唯一の球技…その理由とは何なのであろうか。

「卓球を引き受けたのは、ビジネスの観点からも魅力的だということもありました。それは、固定費の問題です。例えば、Jリーグであれば選手を25名程抱えなければなりません。また、スタッフも必要ですし、更に遠征となるとその人数分の移動費もかかります。1回の遠征で少なくとも300万円近くかかると言われています。これが全部費用としてかかってくるわけです。一方、Tリーグとなると実は4名で出来て、それをサポートする人間も2~3人で済むわけです。それを考えたら、固定費が6分の1なんです。さらに、Tリーグでは、原則、世界ランキング100位以内の選手しか出てはいけないんです。そういう選手の練習場所がどこになるかというとナショナルトレーニングセンターなんですよね。つまり、われわれは独自の練習場も提供しなくていいんです。圧倒的にコストを低く抑えられるというわけです。
選手目線で考えても、場所をとらずにどこでも出来るわけですよね。バスケットやサッカーのような広い場所がなくても、スケートやプールなどの特別な施設がなくても、ラケットと球、そして卓球台とそれを置けるだけのスペースがあればどこでも出来るんです。
つまり、わずかな場所・わずかな費用で出来るスポーツなんですよね。」

沖縄からオリンピック選手を輩出したい

「私自身、年の半分を沖縄で過ごしています。沖縄というと観光地の明るいイメージがあるかと思いますが、まだまだ基地問題など政治的に難しい問題もありますし、貧富の格差という現実も痛感しています。そんな地域でオリンピックを目指せる唯一のスポーツだという松下さんの言葉が、心に刺さりましたよね。我々は『沖縄から、メダリストを』というフレーズを合言葉にしていて、沖縄からオリンピック選手を輩出したいと思っているんです。」

実は、沖縄県出身の選手(個人)がオリンピックでメダルを獲得したことはこれまでにない。

■都道府県別 夏季オリンピック個人種目メダル獲得数

(弊所作成)
夏季五輪でのメダル獲得がないのは、福井県と沖縄県。冬季五輪も加えると沖縄県だけがメダル獲得数が0なのだ。

「『沖縄から、メダリストを』これが、本当に実現可能だと思っています。琉球アスティーダでは、ジュニア養成のための卓球場も所有しており、その隣に鍼灸院、トレーニングセンターもあります。また、指導者には福原愛さんを指導していた、張 莉梓(チャンリサ)をヘッドコーチに、福原愛さんの旦那さんのジャン選手を監督としています。つまり、うちのチームのジュニア選手は、小さい頃からトップ選手を育ててきた指導者から、沖縄で指導を受けられる環境にあるんです。だから今ものすごく強くなっていて、ジュニアで60名位いるのですが、昨年の小学生の大会で4年生の子が優勝したり、3年生の部で2位になったりしています。これからが本当に楽しみです。」

沖縄出身の卓球選手が、世界ランキングの上位を占め、オリンピックでメダルを獲得し、そして、沖縄が卓球王国と言われる時代が近づいているのかもしれない。
次回は、経営者としてやってきた早川氏が初めて携わるスポーツビジネスの課題や今後の展望、そして、上場に対する思いを語っていただく。

 

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