米住宅バブル真っただ中?ケース・シラー住宅価格指数とは?

BUSINESS TREND 米住宅バブル真っただ中?ケース・シラー住宅価格指数とは? 2019.08.22

近年、海外不動産投資に目を向けられる方が多くいらっしゃいます。特に米国への不動産投資は脚光を浴び続けています。
今回は、米国不動産市場について考察する上で欠かすことのできないケース・シラー住宅価格指数について説明していきます。

~リーマン・ブラザーズ全盛期~

2008年9月15日、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻したことをきっかけとして、かの有名な『リーマン・ショック』が起こりました。これにより、世界的な金融危機が発生し、主要各国にも大不況をもたらしました。
このような大失敗のイメージが強いリーマン・ブラザーズですが、2000年台初頭には、高金利のサブプライム・ローンの貸付によって、世界最大の投資銀行として金融界を牽引していました。では、リーマン・ブラザーズはどのようにして成功を収めていたのでしょうか。

そもそも、サブプライム・ローンとは、クレジットカードの支払いを繰り返し滞納するなどの信用力の低い「サブプライム層」を対象にした住宅ローンであり、非常にリスクの高い融資になります。もちろん、大半の金融機関はリスクの大きさに物怖じしてしまいます。しかし、リーマン・ブラザーズはこのサブプライム・ローンにいち早く着手していきました。そして、2001年にアメリカ同時多発テロが起こると、景気を回復させるべくFRBによる利下げが推進され、住宅価格が高騰、その結果高確率で債権を回収することができ、リーマン・ブラザーズは大成功を収めたのです。

~世界トップ企業の陥落~

しかし、サブプライム・ローンによる大飛躍は急速に終わりを迎えます。住宅価格の急上昇に伴い、FRBによって度重なる金利の引き上げが実施された結果、住宅バブルは崩壊。住宅価格の暴落を読み切れなかったリーマン・ブラザーズは、大量の不良債権を抱えることになり経営破綻に陥りました。世界トップの金融機関の失墜に伴って、アメリカ経済は急激に弱体化、この影響は世界中に広がり、大不況が発生しました。これがリーマン・ショック発生までの概要です。

そして、リーマン・ショックから反省を得た人々は、住宅価格を回復させ二度と同じ過ちを繰り返さないように、ある指標を活用するよううになりました。それが「S&Pケース・シラー住宅価格指数」通称、ケース・シラー指数です。

~純粋な住宅価格相場を示す “ケース・シラー”~

ケース・シラー指数は、カール・ケースとロバート・シラーという2人の教授を中心として、1980年代に開発された住宅価格に関する指標で、現在はスタンダード&プアーズ社が発行しているものです。過去の住宅売買事例のデータを基に、2000年1月の価格を100としてリピート・セールス・プライシング法という手法で算出されています。

リピート・セールス・プライシング法とは、複数回売買された特定の物件について、その取引価格の差を調べ、それらを統合することで価格指数を推定する手法です。この手法では、大幅な経年劣化による価格の下落や、増改築による価格の上昇を修正する変数が組みこまれており、また、家族間での譲渡や差し押さえなど著しく取引価格を下落させるケースを排除しているため、純粋な住宅価格相場を示した指標となっています。

ケース・シラー指数は、リーマン・ショック前まであまり注目されていませんでした。しかし、住宅価格の動向から目を背けることは第二のリーマン・ショックを引き起こしかねません。アメリカ経済を回復させるためにも、住宅価格動向を正確に読み解くことは必須だと言えるでしょう。そこで、ケース・シラー指数が人々から注目を集め、日の目を見ることになったのです。

~米住宅バブルはまだまだ続く……?~

では、実際にケース・シラー指数はどのような変動をしてきたのでしょうか。

図表1を見てみましょう。これは2000年から現在までの住宅価格指数の推移です。リーマン・ショックが起こる前、住宅価格が頭打ちになっていたことがわかります。また、ここ数年で再度住宅価格指数は徐々に上昇しており、現在ではリーマン・ショック前の住宅バブル時を超える数値を示しています。加えて、FRB(連邦準備制度理事会)による金利の引き下げが、2008年12月以来に10年7か月ぶりに行われることが7月末に発表されました。これにより、住宅需要の拡大が続き住宅価格指数はさらなる上昇を続けるのではないかと予想できます。

図表2は、ケース・シラー指数の推移と、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しているアメリカの代表的な株価指数 “S&P 500”の推移を比較したものです。ケース・シラー指数が上昇すると、景気が良くなるという期待が膨らみ、株価やドル相場も上昇する傾向があります。現在はケース・シラー指数の上昇と並行するように株価も上昇していますが、米国住宅市場の急激な変化に備えて注意は必要であると言えます

~ケース・シラー指数から目が離せない!~

アメリカ経済の動向は日本経済にも大きな影響を与えます。米国での不動産売買を考えている方や、米国株の取引を考えている方だけでなく、日本でビジネスに取り組む人々にとっても、ケース・シラー指数は必見の指標となるでしょう。HRI journalでは、ケース・シラー指数を始め、海外不動産投資に関連する情報もお届けしてまいります。ぜひご注目ください。

【参照元】
S&P Dow Jones Indices “S&P CoreLogic Case-Shiller U.S. National Home Price NSA Index”
S&P Dow Jones Indices “S&P 500®”

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