【第1回】志と合致した「卓球」というスポーツ

BUSINESS TREND 【第1回】志と合致した「卓球」というスポーツ 2020.01.22

HRI Interview♯03 信念を貫いたビジネスでプロスポーツ界に変革をプロスポーツチームとして初めての上場を目指す『琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社』代表の早川周作氏にお越しいただき、卓球というスポーツの魅力やなぜ早川氏がプロスポーツチーム運営に携わることになったのか、また、上場を目指す理由などについて語って頂きました。

卓球Tリーグとは?琉球アスティーダとは

Tリーグは、2018年に国技館で開幕した日本の卓球リーグで、男子4チーム、女子4チームで構成されている。

「琉球アスティーダのチームの特徴としましては、ほぼ外国人の選手で構成されていることです。現在は、韓国や中国のトップ選手や元五輪代表選手、また、福原愛さんの旦那さんである江(ジャン)選手、台湾のレジェンドである荘(ジュワン)選手など、アジアマーケットに訴求するためにアジア人を中心として構成されています。

なぜかというと、シュリンクしていく市場で戦うよりも、アジアをマーケットとして見た方が物販や興行、スポンサー獲得などが期待できるからです。沖縄県が東アジアの中心に位置するという地理的特性があるからこそ可能だと思っています。

また、アジアをマーケットとしているのですが、もちろん日本も大切だと思っています。次世代の選手を育てることがプロチームの務めであると考えているので、日本人の高校生や大学生なども加入してもらい、バランスよくやっています。」

「弱い地域」「弱い者」に光を

卓球経験者であったわけでもなく、むしろ「卓球には全く興味がなかった」と公言している早川氏がなぜ、卓球のプロチームの運営をすることになったか。その背景には、早川氏が経験した壮絶な体験、そしてそこから生まれた大きな志が、卓球というスポーツと合致したからだ。

「大学受験を目指し勉学に勤しんでいたある日、父親の事業が立ち行かなくなり、突然父親が蒸発してしまいました。とても進学どころの状態ではなかったのですが、ある弁護士に救われ、その後、新聞配達をしながら学費を貯め、自分たちを救ってくれた法律家のようになりたいと思い、法学部へ進学しました。」

その後、法律事務所で働きながら早川氏は学生起業家として頭角を現し、多くの会社の立ち上げに参画、順調に事業展開を進めていたが、それらの会社をすべて手放し、政治の世界へ挑戦。羽田孜元首相の元で2年半秘書を務めることとなる。

「私が、なぜ国会議員を目指したかというと、父親が蒸発したあと、助けを求めて市や県に相談に行った際、『お前らなんて住むところがなくてもいいんだ』という言葉を浴びせられました。その時に、『社会基盤というものは強い地域、強い者にしか働かず、弱い地域、弱い者には働かない』ということを目の当たりにしました。

例えば、奨学金制度でもお金を借りに行ったら、『保証人を連れて来い』と言われるわけです。また、父がなぜ会社を潰すだけではなくて、蒸発してしまったのかというと、今の破産法は“一度失敗した人間にはチャンスが与えられない”んです。どういうことかというと、破産法で免責まで行ってしまったら5年間お金を借りられません。要するに日本は、失敗した人間に手を差しのべない社会構造になっているのです。

私がどうして政治家を目指そうと思ったかというと、理由はここにあります。「強い地域、強い者」に働く政治機能ではなく、「弱い地域、弱い者」に光を当てる。そして、しっかりとチャレンジしたから失敗もしてしまう、失敗を悪とするのではなく、チャレンジしたこと自体を評価する社会構造に変えていきたいと思ったからです。」

28歳で衆議院選挙に出馬するも、次点で敗戦。
その後は、ビジネスの世界に戻り、中小企業やベンチャー企業の支援やIPOなどを手掛けることとなるが、「弱い地域、弱い者に光を当て、チャレンジする人を支援したい」という思いが根底に強くある。そんな早川氏には、実は過去にJリーグのチーム運営の打診もあったという。結果として、Jリーグの要請は受け入れなかった。そして、その後、また転機が訪れる。

Tリーグチェアマンからの直接の代表就任要請

「Tリーグのチェアマンであり、過去に4大会連続で卓球でオリンピックに出場した松下浩二さんからの直接の代表就任の要請があり、その時に松下さんから言われた言葉が胸に刺さりました。

『5歳で始めたスポーツで15歳でメダルが取れる可能性があり、また、沖縄でこれだけ貧富の格差が拡大する中でお金をかけずしてチャンスが与えられる球技って卓球以外ありますか?』

私が政治を目指したり、その後も中小企業の支援をしたりしてきたのも、根底には「弱い地域、弱い者に光を当て、チャレンジする人を支援したい」という思いがあったからで、この私の志が卓球というスポーツとピッタリ合致したんですよね。実は、このお話を30分で引き受けました。」

壮絶な体験から首尾一貫した志を持った早川氏。卓球というスポーツには、そして、それを沖縄でやるということには、どのような理由や背景があるのか。
次回は、私たちの知らない卓球の魅力とビジネスの観点から見た卓球について語っていただく。

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